2012年01月11日

東南アジア最高峰キナバル山登頂

今までいろんな山に登ってきましたが、これほど雨に泣かされた山登りは初めてです。
旦那が雨季と乾季を間違えていて、まさに雨季のボルネオ島でしたうるうる

香港で1泊したのち、マレーシアのサバ州首都コタキナバルへ飛行機

香港は15年くらい前(多分中国返還前)に行ったことがあり、友人と食に買い物に楽しんだ思い出があります。
友人の職場の駐在員の方にご馳走になった北京ダックと、興味深々で食べた亀ゼリーに、デリケートな?お腹がやられてしまい、ずっとトイレから出られなかった苦い思い出もあります。

本当に人が住めるの!?驚いてしまうほどの超高層マンション群が連ねていました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂

でも街は相変わらずの雑踏
東南アジア最高峰キナバル山登頂

人種のるつぼ
いろんな国の人達が暮らしていて、人人人・・・人工的な都市に息づまりを感じてしまいました。
都市より自然を求めてしまう私、15年経って少しは落ち着いたのかしら・・(笑)


コタキナバルで1泊し、翌朝、乗合ミニバスでキナバル山のふもとへバス

タクシーや観光ツアーではなく、なるべく現地の人と同じ公共機関を使うようにしています。
現地の人と同じ目線でその国を見たいから。
長距離バス乗り場で、ラナウ行きのミニバスを待ちます。
というのは、人数が一杯になるまで出発しないから。
待つこと30分、10人乗りワゴン、12人の人と荷物でギュウギュウになりようやく出発。
ゴトゴト揺られること2時間、途中のキナバル国立公園の入り口で降ろしてもらいました。

園内では、予約してあったロッジへ。
2段ベットが2つずつあるドーミトリー。
ラトビアの首都リーガから1ヶ月の旅をしているというおばさんとの共同部屋。
お隣のブルネイ国はお金持ちで、モスクが金箔で張り巡らされていたとか・・
国王は世界一の大富豪で、石油が取れるだけでそこまでとは・・
同じブルネイ島にいるマレー人、国が違うだけで生活水準に大きな差が出てしまう現状。
いい車でマレーシアに観光に来るブルネイの人達を見てどう思っているのでしょうか・・?

東南アジア最高峰キナバル山登頂
乗合バスからキナバル山を撮影。
あのギザギザした山の頂に臨みます!
この時以降、雲に覆われてしまい山頂は撮影できずくすん

明るいうちにシャワーを浴び、大自然の中でゆっくり時を過ごします。
すでに標高1500m。
街は30℃近くもあり蒸し暑かったけど、ここではフリースを着ないと寒い。
心配していた蚊もいなそう。
園内だとツーリストプライス。
とても高いで、園外のレストランで早めの夕飯を済まし、20時には就寝zzz


翌朝7:30ガイドと対面。
ここではガイドをつけないと登れないシステムになっていて、観光収入の一環で、雇用創出の場となります。
国によってそういう制度が設けられていて、タンザニアの第二の高峰メルー山(最高峰はキリマンジャロ)登山の時は、ガイドのほか、ポーター2人、コック、ウェイター、ガードマンの6人を引きつれていたのには驚きました。(実際一緒に登らないので、あとからこの人数を知ったのですが・・)
殿様登山。山小屋泊でウェーターつきとは・・・贅沢。
でもそれを管理していたのは日本人のツアー会社。
本当はもうひとりつけたかったと言われ・・・興ざめしたのを覚えています。
結局先進国の人達が儲かるシステムになってしまうのが悲しいです。
でも、何かしらのツールがないと観光客を招致できず・・
いつか自分達で独立してねと、チップに託しました。

ここの国立公園も、とある会社が管理しています。
入園料が外国人はマレーシア人価格の10倍ひょえー
まさに観光資源です。
いろいろな国の人達が来る人気のある山です。

私達のガイドさんは女性。
聞くと学生で、お休みのたびに登っているとのこと。
常に私達の後ろをニコニコ見守りながら歩いていました。
マレーシアは以前イギリスの植民地だったせいか、観光地化しているせいか、みんな英語が話せます。

私達はポーターを頼まず、自分達で荷物を担いでいたのでどんどん追い越されます。
私10kg、旦那は15kg。
寝袋に、防寒具に、水に・・・これでも山で1泊する必要最小限です。
登るにしたがって、荷物の負担がだんだん重くのしかかってきます。

東南アジア最高峰キナバル山登頂
登り始めから雨がパラパラと・・
ジャングルの中のカッパはサウナ状態。
暑さと、重さと、急登の石の階段を無言で必死に登っていきます。

途中リスが飛び回っていました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂

そのうち本降りに雷雨
土砂降りの中、ひたすら登りました。
カッパはしみてきて中までびしょびしょ。
旦那のトレッキングシューズは水が入ってきて靴下もびちょびちょ。
替えがないから翌日もこのまま使うことに・・わー
雨で濡れて荷物もより重くなる。
リュックが肩にどんどん食い込んでくる。。

6時間かけて泊まる3300mの山小屋に到着
東南アジア最高峰キナバル山登頂
持ってきたものすべて着ても寒い。
酸素が薄いのでフラフラする。
温かいものを食べて早めに休むことに。
ルームメイトは、ひとりで来たというイタリアの女性。

ロッジの隣の一枚岩では、雨が滝となって流れています。
東南アジア最高峰キナバル山登頂

夜になってようやく雨がやみました。
神々しい山並みが眼下に・・
東南アジア最高峰キナバル山登頂

夜中2時に起床、3時に出発予定
せめてこのまま雨が降りませんように。。

19時、ベットに入ったものの全く寝れず・・
トップにアタック前の晩は緊張するせいか?高山のためか?いつも寝れずアウチ
疲れているのに寝れないのはツライ。
旦那は高山病にかかってしまい、気持悪いとかで薬を飲んでいました。
寝ている間は軽い呼吸なので、酸素が不足してしまい高山病になりやすいのです。

ほとんど寝付けないまま2時
雨降ってない!やったー!!
満点の星空に、眼下にはきれいな夜景キラキラ
流れ星まで見えました流れ星
旦那、気持悪いから食べれないと私ひとり軽く食事を済ませ、ガイドを呼びに行きました。
3時出発。
真っ暗の中、頼りになるのはヘッドライトのみ。
登山者の明かりの列がつながっています。

急登をよじ登り、ロープをつたって這い上がり。
滑るので転んで擦り傷を作りました。
何人も怪我人続出。
でも、前へ進むしかありません。

酸素が薄くなるにしたがって、吐き気も増してきます。
深呼吸、小休憩を取りながら、自分を奮い立たせ、歩くしかありません。
ただ、雨が降っていないことだけがせめてもの救い。感謝!
ご来光はのぞめませんでしたが、だんだん明かりが差してきた頃、頂上が見えてきました。

2時間半、ついに登頂!!
東南アジア最高峰キナバル山登頂
眼下に、コタキナバルの街と海が見えます。

奇怪な岩々がそびえたっています。
東南アジア最高峰キナバル山登頂

まるで映画のワンシーンのような光景

東南アジア最高峰キナバル山登頂

よくこんなところ登ってきたなぁと思わせんばかりの急斜面

東南アジア最高峰キナバル山登頂

4095m
寒いし空気が薄く苦しいので早々に下山。
雨が降り出してきました。
ツルツル滑りながら、ロープをつたって降りていきます。
東南アジア最高峰キナバル山登頂


小屋に着いて朝食を取ってから、また重い荷物を背負って下山。
でも下りは余裕があるので、ハイスピード。
高度が違うと、変化を見せる植生が面白い。
周りをキョロキョロ植物観察。

東南アジア最高峰キナバル山登頂

ウツボカズラ発見!
東南アジア最高峰キナバル山登頂
器に入ってきた虫を液で殺し、食べてしまうという恐ろしい虫食い花。
小指ほどのが手のひらサイズまで大きくなっていくグロテスクな熱帯雨林の花。

高度が下がるにしたがってうっそうとしたジャングルに。
蒸し暑くなってきます。
東南アジア最高峰キナバル山登頂

もうこれ以上は無理~限界まで歩き、ようやくふもとへ。
濡れた体のまま、反対方向の山のふもとのポーリン温泉へ。

ここは第二次世界大戦中、日本軍が発掘した硫黄泉が出ます。
癒されたいとばかりに水着に着替え、ゴーグー
子供達がキャーキャー、屋外プールのような雰囲気の中、区切ってある空きスペースを見つけ湯を入れ始めました。
チョロチョロなのでなかなか溜まらず、待ちきれず横に寝そべって温まりました。
イランの時もそうでしたが、ここの温泉も人が入れ替わるごとにお湯も入れ替えます。
湯量が豊富なんでしょうね。

ここはジャングルの気候なのか、夜は虫との格闘でした。
はらっても落ちてくる大量の羽蟻、キーキー鳴くヤモリ、折り紙で作ったような巨大なバッタ・・
マラリア蚊だけには要注意と、虫除けスプレーとベープでガード。
まさに大自然の中でのコテージでした。

翌朝、ここでしか見られないという、世界一巨大な花、ラフレシアを見に行くことに。
数日しか咲かないという希少な花らしく、保護しているお宅が観光ツアーのようになっていました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂
虫をおびき寄せるために悪臭を放つというけど、臭いはせず。
キャベツが花開いた感じで、”花”とはかけ離れた不気味さをかもしだしていました。

同じお庭にドリアンがたわわになっていました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂
シーズンらしく、市場に行くとプンプン匂わせていました。
露天でもたくさん販売されていました。
好奇心旺盛な私でも、手が出ませんでした。

移動の車中から、里山が見えました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂
どこか懐かしい景色。
自然の恵みを生かした農的暮らし。
私はこんな光景が大好きです。落ち着きます。
ネパールの山郷にも似ています。
でも、都市が発達すると、若者は職を求めてこんな田舎から移動していきます。
そして貧富の差が生まれます。
高度成長することで、便利や効率を生むかもしれないけど、確実に何かが失っていく気がします。


コタキナバルに戻ってから、マーケットを見学しました。
魚介類が豊富で、炭火でさまざまなものを焼いて売っていました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂
大好物の上海ガニサイズの蟹を食べました。

その日の夜は、イランでテニス仲間だった方と一緒にご飯を食べました。
1/1。この日の夜だけ会うことができました。
大切な”縁”を感じます。

石油関係のお仕事をしている方で、面白い話を伺いました。
石油が取れる海は、海老が大量発生し、あまりきれいでないとのこと。
有機物の蓄積しやすい、流れが悪い状況にあるからだそうです。
翌日、離島サピ島に行ったのですが、熱帯魚や珊瑚礁は見えたけど、確かに、抜群の透明度はのぞめませんでした。
大きなトカゲが歩いていて、ギョッとしました。
東南アジア最高峰キナバル山登頂


筋肉痛が取れるのに、1週間近くかかりました。
数日間は、太ももを触るだけでも激痛がはしるくらい・・歩くのもままなりませんでした。
相当筋肉にダメージを与えてしまったことでしょう。

でも、辛かった思い出と同じくらい、素晴らしい光景と、頑張りぬいた達成感と、さまざまな出会いと、貴重な経験ができたことは間違いありません。
お互い助け合ってきた相棒がいたからこそ、さらに思い出深い旅になりました。
そして今回確信したのは

「奇跡を信じます。ありがとうございます。」

正直、ずっと霧の中にある山、やむのは難しい状況でした。
もしこのままやまなかったら、多分途中で引き返していたと思います。
でも、奇跡を信じようと、初日ずぶ濡れになりながら登っていた時、心の中で唱え続けていた言葉。
そして・・・翌日の一番ツライ時間帯だけ、雨がやみました。
山へ導いていただいたとしか考えられない奇跡が起こりました。
想いが通じましたハート感謝です!

人は小さいもので、自然に左右されてしまうし、ましては自然をコントロールはできません。
すぐ先の小高い頂まで行くのが、どんなに大変なことか、身をもって思い知らされます。
いかに自然のパワーが強いか・・
私達は、自然と上手に共存していけば、困らないように見守ってくれると信じています。

登山するたびに、もうこんな苦しいのは最後にしようと思うのに、また行きたくなってしまうのはなぜ・・?
自然の中が心地いいからだと、最近ようやく気づきました若葉



Posted by kazumin at 00:14│Comments(0)
 
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